研究概要 |
本研究は、新しい置換ポリアセチレンとして広い共役を有する炭化水素系およびヘテロ原子含有アセチレンを合成し、その重合挙動および生成ポリマーの光・電子機能を明らかにすることを目的とする。本年度では新規モノマーとして種々の含窒素アセチレンを合成し、その重合と生成ポリマーの光機能性高分子としての特性評価を行った。 1.新規含窒素置換ポリアセチレンの合成-新規モノマーとしてカルバゾリルアセチレン(CA)、3-カルバゾリル-1-プロピン(CP)、および3-インドリル-1-プロピン(IP)を合成した。CAはWCl6単独あるいはWCl6-n-Bu4Sn触媒によって重合し、重量平均分子量1万から4万程度のポリマーを良好な収率で与えた。CPはWCl6および[(nbd)RhCl]2によって重合するものの、生成ポリマーは有機溶媒に不溶であった。IPはWCl6によって重合しなかったが、[(nbd)RhCl]2によって高収率で重量平均分子量13万のポリマーを生成した。 2.生成ポリマーの特性-ポリ(CP),ポリ(IP),およびポリ(Me-IP)は淡黄色ないし黄色であるのに対し、ポリ(CA)は濃紫色であった。紫外可視スペクトルにおいてもポリ(CA)はポリ(フェニルアセチレン)と比べて大きな長波長シフトが観察され(吸収端700nm付近)、これらの結果はポリ(CA)の主鎖が広く共役していることを示唆している。生成ポリマーの光電子機能特性の一つとして3次の感受率[χ^<(3)>]を測定した結果、ポリ(CA)は1.8x10^<-11>esuとなり、置換アセチレンのなかでは非常に大きな値を示した。さらに、これら、および関連するポリマーのエレクトロルミネッサンスを大阪大学の吉野教授との共同研究として詳細に検討した。
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