研究概要 |
本研究では最終年度である今年度、昨年度に引き続き新規置換ポリアセチレンの合成を試みるとともに、それらの電子・光機能の開発について検討した。以下に本年度の研究成果の概要を述べる。 1.ジアルキルアミノ基を有するポリ(フェニルアセチレン)の合成と特性―――p-(N,N-ジアルキルアミノ)フェニルアセチレンを[(nbd)RhCl]_2により重合してジアルキルアミノ基を有するポリ(フェニルアセチレン)を合成し、これらのポリマーの電気化学的挙動を検討した。[(nbd)RhC1]_2-E_<t3>Nを触媒として用いるとp-(N,N-ジエチルアミノ)フェニルアセチレン(DEAPA)とp-(N,N-ジ-n-ブチルアミノ)フェニルアセチレン(DBAPA)の両方とも高収率でポリマーを与えた。これらのポリマーはクロロホルムなどに可溶であった。紫外可視吸収スペクトルでは300〜400nm付近に吸収極大が観測された。ポリマーフィルムを電気化学的にドーピングするとフィルムの色が黄緑色から濃青色に変化し、吸収は680nm付近にまでシフトした。 2.ポリアセチレン誘導体のフォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス―――種々の置換基を有するポリアセチレンのエレクトロルミネッセンス(EL)およびフォトルミネッセンス(PL)について検討した。ポリ(ジフェニルアセチレン)誘導体およびポリ(1-アルキル-2-フェニルアセチレン)ではそれぞれ強い緑色と青色のELが見られた。一方、一置換アセチレンポリマーでは赤色のPLとELが見られたが、非常に弱かった。ELおよびPLの置換基の種類依存性について詳しく検討した。PLとLasingのスペクトルが狭くなることが強い励起によって実現された。
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