研究課題/領域番号 |
09450354
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
増子 徹 山形大学, 工学部, 教授 (40007216)
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研究分担者 |
和泉 義信 山形大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30002158)
米竹 孝一郎 山形大学, 工学部, 助教授 (30143085)
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キーワード | ポリオルガノホスファゼン / 時分割X線回折法 / 結晶変態 / メゾモルフィック状態 / 結晶化速度 / 偏光赤外吸収スペクトル / クライオ走査電顕 / 偏光顕微鏡 |
研究概要 |
結晶性ポリオルガノホスファゼン(POP)は結晶状態から分子鎖が2次元規則的に配列したメソ相(δ相)に変化する。この転移温度、T(1)は融点とガラス転移点の中間に存在する。本研究では、2種のPOPについて、それぞれのδ相から急冷する過程を時分割X線回折で追跡し、得られた球晶形態と結晶変態との関係を考察することを主要目的としている。 平成9年度の研究では、まずポリ[ビス(4-エチルフェノキシ)ホスファゼン]-PB(4E)PP-の急冷時に伴う結晶化挙動を検討した。試料を偏光顕微鏡下でδ相(200°C)に昇温加熱すると、次第に針状晶が現れ、250°Cに保持すると無数の針状組織と変化し、針状晶は時間と共に長軸方向に成長する様子が確認された。これを参考とし、試料低温化吹き付け装置を用いて、250°Cから75°C まで500°C /minの冷却速度で試料を急冷し、この過程を実験室型X線回折で追跡したが、相当に結晶化速度が早く、放射光による実験が必要で、通常のX線回折装置では適切な時分割実験が困難と判明した。この検討により、試料を急冷するための実験技術が著しく向上した。 75°Cで等温結晶化させると、針状晶が結晶化した後、その周囲より小型の球晶(A型球晶)が出現した。得られた球晶構造内の微構造をクライオ走査電顕で観察し、それらを構成するラメラの厚さに分布のあることを推定した。このポリマのT(1)転移点を挟んで高温顕微偏光赤外吸収スペクトル評価を行った所、スペクトル形状には大きな差を見出せなかった。これを、X線回折データと比較して、従来のPOPに関する相転移挙動を見直す必要があることを確認した。 一方、ポリ[ビス(3,4-ジメチルフェノキシ)ホスファゼン]-PB(dM)PP-の冷却過程と球晶形態の関係について前記PB(4E)PP同様の検討を行った。時分割X線回折法は、平成10年度に充分な検討を行うこととし、このポリマーの高結晶化試料を高温顕微偏光赤外吸収スペクトルとクライオ電顕で調べて、相転移後の微細構造について興味ある結果を得た。
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