研究課題/領域番号 |
09450359
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大岡 正孝 京都大学, 工学研究科, 教務職員 (10160425)
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研究分担者 |
山本 雅英 京都大学, 工学研究科, 名誉教授 (40025961)
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50127049)
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キーワード | 蛍光偏光解消法 / 高分子鎖の動的性質 / ナノ秒時間領域 / 局所運動 / 緩和時間 / 感熱応答性ポリマー / 分子動力学シミュレーション / 蛍光プローブ |
研究概要 |
本研究は、サブナノ秒時間分解蛍光偏光解消法を用いて、高分子鎖固有の動的性質、並びに高分子鎖間の分子間相互作用を持つ系の構造とダイナミックスを解明することを目的とする。1.高分子鎖固有の局所運動と分子構造との関係。(1)ポリスチレンについて、高分子鎖の主鎖中央と主鎖末端の局所運動を良溶媒中で比較し、主鎖末端の方が主鎖中央に比べてほぼ一桁、緩和時間が小さいことを見出した。また良溶媒及び貧溶媒中の緩和時間の分子量依存性を検討し、個々のボンド周りの回転ポテンシャルが局所運動の支配因子であること、局所運動の最大運動スケールとして約200ボンドであることを明らかにした。(2)ポリスチレン主鎖中央の緩和時間がプローブ近傍の分子構造に依存して大きく異なることを見出して、プローブ近傍の構造、すなわちプローブの導入方法が蛍光偏光解消法にとり重要であることを示した。2.分子動力学シミュレーションを用いて、末端にアントリル基を導入したポリスチレン鎖(ベンゼン溶媒)の局所運動の緩和時間の解析を行い、実験により得られた緩和時間の分子量依存性を説明すると共に、実験で得ている緩和時間は主鎖ボンドの協同的な回転運動を反映していることを明らかにした。3.ポリエトキシエチルビニルエーテル水溶液のLCST型の相分離現象を蛍光法を用いて調べ、相分離温度20℃より約4度低い温度から異常な動的消光が起こることを見出した。この機構は、相分離に先立って濃度ゆらぎが大きくなり、濃度が一時的に高くなった部分で、消光因子であるモノマーセグメントが励起プローブと接触することに上り、効率的な動的消光が起こるためであることを明らかにした。
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