研究概要 |
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム及びポリイソプレンスルホン酸ナトリウムの分別試料のNaCl水溶液中について静的並びに動的光散乱測定を行い,回転半径と並進拡散係数を分子量の関数として決定した。後者の高分子電解質(3,4と1,4一付加の異性体構造を有する)については,固有粘度も測定した。また,剛直な電解質多糖サクシノグリカンについて旋光度,粘度測定を行った。今年度得られた主な知見は以下の通りである。 1.固有粘度の解析から求めたポリスチレンスルホン酸ナトリウムのみみず鎖パラメータは0.05M以上のNaCl水溶液中の回転半径と並進拡散係数の鎖長依存性をほぼ満足に説明する。したがって,この屈曲性高分子電解質の排除体積効果は非電解質鎖に対する準二定数理論の枠内でほぼ記述できる。 2.ポリイソプレンスルホン酸ナトリウム分別物の3,4と1,4-付加の割合は分子量に依らず,0,56対0.44であった(NMR測定による)。0,5MNaCl水溶液中におけるこの高分子の無限鎖長での特性比と平均の排除体積強度を高分子量試料の固有粘度データから求め,さらに,化学構造に基づいて計算した単位経路長当たりの平均モル質量とその特性比より,平均の持続長を072nmと見積もった。こうして得たモデルパラメータと平均のビード直径(仮定)を使うと,ポリイソプレンスルホン酸ナトリウムの固有粘度,回転半径,並進拡散係数はすべて非電解質ホモポリマーに対生る準二定数理論により説明が可能である。 3.NaCl水溶液中におけるサクシノグリカンの秩序構造は,40℃以下の温度域では,塩濃度に依らず安定である。今後,熟による構造変化を光散乱により追跡する予定である。
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