研究概要 |
宇宙環境下で、集中太陽エネルギーを利用したエネルギー変換に関する研究を行う場合,高温発生部が集人工衛星の姿勢制御などの外部擾乱により時間的に空間位置が変動し、μ-g環境の実現の上で大きな問題となっていた.また,月資源の利用を想定した時,ファイバーにより高温場所を任意に発生できることは有用である. そこで本研究では,放物面太陽集光鏡の焦点に光ファイバーを設置して,高密度太陽エネルギーを光ファイバー伝送することにより,任意の場所で,外部擾乱から隔離した状態で高温度領域における太陽エネルギー変換・利用が可能なシステムの開発を目的としている. 昨年度,太陽光自動追尾機構を有する口径0.7m,焦点距離700mm放物面鏡と光ファイバー束(ファイバーの最大取り込み角12°で直径0.3mmの光ファイバーを1540本束ねてファイバー束径17mmとしたもの)を複合放物面集光器(CPC)と楕円面鏡からなる材料実験炉に接続し,熱流速計を用いてファイバー出口での熱流速を測定した結果,設計値の70%のエネルギー伝送効率であった事が分かった.最終年度である今年度はこれらの太陽集光・伝送システムと材料実験炉を用いて月面のレゴリズを模擬したレゴリスシュミラントを用いて,実太陽によるレゴリズ還元・溶解実験を行うと同時に,ランプ加熱によるレゴリス還元の最適条件について調べた.この結果レゴリスから酸素を抽出し,有用金属(Fe)を得ることが出来ることが分かった.実太陽光による還元実験では,レゴリスシュミラント中の酸化鉄(Fe_2O_3)中の約70-90%が還元されていることが分かった.
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