研究課題/領域番号 |
09450368
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梶 昭次郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80013704)
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研究分担者 |
佐藤 哲也 宇宙科学研究所, 宇宙推進研究系, 助手 (80249937)
渡辺 紀徳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10201211)
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キーワード | 超音速燃焼 / スクラムジェット / 熱閉塞 / 複合閉塞 / 高エンタルピー風洞 / 宇宙往還機 / 水素燃焼 |
研究概要 |
宇宙往還機や極超音速輸送機の推進機関としてスクラムジェットエンジンが注目されている。その技術的課題は安定な超音速燃焼の実現であるが、これを阻止するものは熱閉塞と複合閉塞である。一般に極超音速機では機体とエンジンの一体化が行われるが、亜音速機や超音速機と異なり、極超音速機の場合は機体に沿って発達する境界層をエンジン外部に逸らすことはできず、これをエンジン内に取込むことを余儀なくされる。主流と機体境界層流のように性質の異なる流体が一緒に空気取入口からエンジンに取込まれると、各々の流れから成る流管は極めて複雑かつ相互に影響しつつ各流管断面積を変化させる。結果として、主流部は超音速を保ったまま境界層流部の存在ゆえに、流れ場全体として閉塞状態になる。これが複合閉塞現象である。 本研究では現実のスクラムジェットエンジンが熱閉塞や複合閉塞に陥る状況を正確に模擬するため、エンジンモデル内で水素燃焼を行わせて実験検証すると同時に、小型モデルでは把握しきれない現象の詳細面については数値解析によって解明する。 スクラムジェットエンジンモジュールで超音速燃焼を実現するために、超音速風洞に水素燃料による予備燃焼器を付加し、全温約2000Kまで加熱できるように改造した。これまで予備燃焼器、超音速ノズル、風洞試験部にはセラミックタイルの内貼りを施していたが、予備燃焼器の着火衝撃によりセラミックタイルが破損して行くため、金属壁に改めた。間欠的な加熱運動による伝熱量は金属壁の熱容量で受持つことにした。 本年度は、予備燃焼器により、空気温度を風洞中央部で1200℃以上に加熱することを実現したが、さらに高温化するために振動燃焼を抑止する方策を探っている。エンジンモジュールを風洞試験部壁面に装着し、シュリーレン映像により流れの場の様子を確認した。水素燃料噴射による自発着火は、亜音速流れでは確認できたものの超音速流れでは十分確認できず、燃料の噴射方法を再検討することとした。
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