研究概要 |
1.シース型ホール推進機の性能測定 シース型作動を実現するために,加速チャンネル長さを数ミリのレベルまで短く設計して,性能測定実験を行ったところ,シース型ホール推進機の安定作動には加速チャンネル内のプラズマ振動に関する理解と,放電不安定に対する対策が必要であることが明らかとなった.高時間分解能を有する光学,探針プラズマ診断実験により,放電不安定に最も影響を及ぼすと考えられる10KHzおよび200KHz付近のプラズマ振動の原因が,それぞれ電離周波数,ExBドリフト不安定に由来するものではないかということを示唆する結果を得た. 電離周波数に関してはプラズマ放射光のスペクトル解析より得られるボルツマンプロット及び多線強度法により電離度を求め,探針測定より得られる電子温度,密度のデータとあわせて算出した.ExBドリフト不安定に関しては,チャンネルの円周方向に配した光ポート及び探針信号の時間履歴データから,円周方向に伝播する波の位相速度を求めた.未だ理論周波数との間に若干のオフセットが存在するため,今後さらに研究を行う必要がある. 2.マイクロ波放電型電子源の研究 宇宙科学研究所が開発中のマイクロ波放電型電子源を借りて,電子源作動特性とオリフィス部分のプラズマ診断を行った.さらにシース型ホール推進用の電子源の設計に向けて,1)磁場有限要素法解析と2)高周波電磁場の共鳴固有値解析を行って,放電室形状とマイクロ波発振周波数の最適化について研究を行った.今後はさらに3)プラズマ流れ解析とカップルさせて,高性能な電子源の開発を試みる.
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