1.マヌ-バ設計に関する研究 飛行試験では、同時に多数の変数が同時に変化し、またそれら相互を機体の運動方程式が拘束しているので、データに相関が発生して有効なデータ解析が困難になる場合が多い。有効なデータ解析を可能にするマヌ-バ(機動)を設計する問題に関して、本年度は主として第二尾翼(Flying Sting)を導入することの効果を理論的に検討した。これは本来の尾翼の後方に、第二の尾翼を取り付け、それに働く力とモーメントを別個に測定することによって、本来の機体の操舵とは独立な操縦モーメントを発生できるようにするものである。 第二尾翼は動的飛行試験でも相関の排除に有効であるだけでなく、本来の舵面を固定したままで任意の迎角や横滑り角で定常飛行を行うことができる。これは飛行試験において風洞試験と同様のデータを取得できることを意味している。 2.飛行制御に関する研究 上記のような高度な飛行試験を実施するためには、何らかの飛行制御が不可欠である。今年度はまず、本研究室で開発してきたHyperUnitと称するオブジェクト指向リアルタイムモニタを完成し、これをDX-4クラスの小型高速度CPUボードコンピュータに搭載して、各種の制御機能を実装した。現在は、姿勢角を推定するユニット、バンク角、ピッチ角、高度などの制御ユニットなどを開発中である。また、これらの試験を実験室内で行うために、機上CPUボードとサーボアクチュエータをループに取り入れたリアルタイム・フライトシミュレータを、同じくHyperUnitによって作成した。
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