研究概要 |
イネのdl遺伝子座は,雌蕊と葉の中肋の形成を制御している.本研究はポジショナルクローニング法により,この遺伝子を単離することを目的としている. まず,この遺伝子座近傍のマーカーを探索し,最も近いマーカーを見いだした.このマーカーをプローブとして,BACライブラリーをスクリーニングし,5つのクローンを得た.さらに遺伝子歩行により,隣接するクローンを探索し,最終的に,約400kbをカバーするBACコンティグを作製した.dl座の変異体の中には,染色体の欠失が起こっていると考えられる系統が存在する.この系統を利用して,欠失した領域を特定した.この領域は約50kbに相当し,あるひとつのBAC内におさまることが判明した.目的のdl座はこの領域に含まれると考えられる.そこで,この領域をλDNAにサブクローンし,詳細なマップを作製した.現在,この領域一部を植物の形質転換用のベクターに組み込んだクローンを複数作製し,dl変異体に導入し,どの領域が変異を相補するかを検討している.これをさらに詳細に進めることにより,DL遺伝子を同定することを計画している. 以上のように,本研究は順調に進んでいる.
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