研究概要 |
イネのdl遺伝子座は,心皮と葉の中肋の発生を制御している.本研究はポジショナルクローニング法により,この遺伝子を単離することを目的としている. 前年度までに,ポジショナルクローニング法により、dl座の存在領域を50kd以内に絞り込み,この領域をλベクターにサブクローンし,λコンティングを作製した.本年度は,培養変異によって生じ,TOS17によって遺伝子が破壊されていると考えられるdl変異体(dl-sup3)の解析をまず最初に行った.dl-sup3を用いて,TOS17と表現型が共分離するかどうかを解析したところ,この系統ではDL遺伝子がTOS17によってタグされていることが判明した.TOS17の挿入位置はポジショナルクローニング法で絞り込んだλコンティング内に存在し,両方法による結果が一致した. dl変異体へのDL遺伝子の導入による相補性検定,dl変異体の塩基配列の決定により,同定した領域が確かにDL遺伝子であることを証明した.DLcDNAを単離し,DL遺伝子とともに塩基配列を決定し,その構造を明らかにした.DL遺伝子は新規の転写因子をコードしていることが判明した. 以上のように,本科研費の申請期間内で,目的のDL遺伝子の単離に成功した.
|