研究課題/領域番号 |
09460005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
育種学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
平野 久 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (00275075)
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研究分担者 |
佐々 英徳 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (50295507)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 塩基性7Sグロブリン / レグインスリン / ニンジン / セイヨウミヤコグサ / 形質転換 / ホルモン様ペプチド / タンパク質の二次および三次構造 / Hormone-like peptide |
研究概要 |
マメ科植物やニンジンで見いだされた塩基性7Sグロブリンは、動物のインスリンやインスリン様成長因子と結合する活性を有する。このタンパク質は、構造、プロテインキナーゼ活性、細胞内局在性などに関して動物インスリン受容体と類似していることが明らかになった。このことから、塩基性7Sグロブリンはインスリン受容体に似た機能をもっていると推察された。このタンパク質と結合する活性をもつペプチドをマメ科植物から分離精製することができた。これをレグインスリンと命名した。レグインスリンも塩基性7Sグロブリンも細胞壁や原形質膜近傍に局在している。レグインスリンは、塩基性7Sグロブリンのプロテインキナーゼ活性を亢進する作用をもっている。ニンジンの培養カルスの成長や分化、そして細胞分裂はレグインスリンにより促進された。また、アグロバクテリウム形質転換系を用いてレグインスリン遺伝子をニンジンやセイヨウミヤコグサに導入したところ、形質転換カルスの成長や分化にレグインスリンの影響が現れた。これらの結果から、レグインスリンは、動物インスリンのようにホルモン様ペプチドとして植物で機能していると考えられた。レグインスリンとインスリンのの機能的な類似性から、両者に構造的な類似性があると推察された。レグインスリンとインスリンのアミノ酸配列に相同性はないが、両者の間には、システイン残基の数、位置、ジスルフィド結合部位に類似性が見られた。たんぱく質の二次および三次構造には共通点が無かった。しかし、分子表面のアミノ酸の種類には類似性が認められた。この類似性が、受容体タンパク質への結合やそのプロテインキナーゼ活性亢進に関連していると推定された。以上の結果から、機能的にインスリンに似たペプチドは動物だけでなく植物にも存在すると考えられた。
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