研究概要 |
平成10年度までに、イネセントロメア局在反復配列RCE1を見出し、これを複数コピー持つゲノムクローンの構造解析を行った。平成12年度は、もう一つのセントロメア反復配列RCS2を用いて特定染色体のセントロメア領域に位置するYACクローンを選抜し、セントロメア領域における構造解析を行った。つまり、第5染色体上の組換えが抑制されたセントロメア領域に39のDNAマーカーを設定し、14のYACクローンを整列化した4つのYACコンティグを形成した。これらの中でのRCE1,RCS2やtransposon-like配列RIRE1などの反復配列の分布、遺伝子との位置関係などの解析を行った。この結果、1)用いた39のDNAマーカーで構築した第5染色体セントロメア領域のYACクローンの整列化地図は、それぞれがおよそ1Mbの長さを持つ3つのコンティグ(Contig I,II,III)と、1つのYACで形成された。2)セントロメア特異的高頻度反復配列RCS2は、BamH1切断した13kbと15kbのフラグメントに乗っており、これら2つのRCS2ブロックは、相互にかなり近い距離に存在している。3)contig I, II, Hのいずれに所属するYACもほとんどのYACがRCE1のコピーを複数個保持していた。また、RCS2を2ブロックとも持つYACクローンを中心にして、左右ほぼ均等にRCE1が分布している可能性が示唆された。4)この領域には9個以上の遺伝子が存在すると考えられ、アラビドプシスセントロメア構造との共通性も示唆される、と言うことを明らかにした。 この中からRCE1とRCS2を共に持つYACクローンをセントロメアクローンとして用い、イネ人工染色体の構築に取りかかった。まずイネ用染色体アームを構築するため、HPTとGUS遺伝子を持つアームにGFP遺伝子、イネテロメアを挿入し、左右のアームベクターを作成した。これらのアームを用いてイネ人工染色体を構築するため、酵母細胞内での相同組換えを用いたセントロメアYACクローンヘのアームの導入を、ひきつづき進行中である。
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