| 研究概要 |
1.CO_2固定反応系のキ-酵素,Rubisco (RuBPCarboxylase/Oxygenase)に注目し,そのタンパク合成や活性調節に対して大きな影響を与える無機栄養(窒素,リン酸)に対するF_1雑種の施肥反応性を検討し,以下の結果を得た。(1)正逆F1雑種間において生育(乾物生産)に明らかな差が認められ,O.sativa(アジアイネ)を母親にするF_1雑種の方がO.glaberrima(アフリカイネ)を母親にするF_1雑種よりも優れ,また発現されるヘテロシスは無機栄養の欠乏条件で拡大した。(2)下位葉から上位葉への窒素分の移動には明らかな正逆F_1間差があり,下位葉での分解過程では各々の母親と同じ傾向を示した。(3)F_1雑種は総じて根の呼吸活性に対するリン酸欠乏の影響が小さく,個葉光合成のリン酸利用効率が高かった。
2.水ストレスを受けていく過程と回復過程におけるF_1雑種の水ストレス抵抗性(耐旱性)を検討し,F_1雑種は,特に水ストレスからの回復過程における個葉光合成速度の回復能力に優れ,またストレスのダメ-ジも最小であったことを認めた.葉内の光合成反応系のダメ-ジが小さいこと,また根の生理活性(吸水力)の回復力に優れ,結果として葉身の水ポテンシャルの回復それに伴う気孔の開孔もより迅速に行われるためであると考えられた。
3.O.glaberrima,O.breviligulata,O.stapffi,O.glaberrima × O.breviligulataのF_1とF_2,O.longistaminata,O.perennis,O.sativa var.spontanea,O.sativaに属する系統を込みに解析したとき,出穂期までの乾物生産力における系統間差異は草丈の違いによって,概略,説明することができた。この結果は,乾物生産力にみられる系統間差および種間差を検討する際、草丈の違いも考慮した解析が必要であることを示している。また,O.glaberrima × O.breviligulataのF_1の中に乾物生産に関するヘテロシスを示す組み合わせが見いだされた。
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