研究概要 |
1.増殖 (1)ヒメサユリ子球を液体振盪培養する場合には,250mMショ糖を添加した培地を用いることで子球の成長が促進されることがわかった.また,培地中のショ糖は培養開始12週間後に完全に消失するが,この時期が培地交換の適期であることが明らかとなった. (2)1mg/1ビクロラムの添加された培地でりん片を培養することにより,様々な種・品種のユリにおいてカルスが誘導することができた.また,培養条件を変えることにより,カルスから植物体を再生させることができた.なお,カルス誘導および植物体再生に関しては,種・品種間差異が観察された. 2.育種 (1)RAPD法およびPCR-RFLP法を用いることにより,ヒメサユリとタモトユリの雑種の同定が簡便に行えることが明らかとなった. (2)カルスをコルヒチン処理することにより,‘コネチカット・キング'の葯培養由来の半数体を効率的に倍加する方法を確立した.また,この手法は2倍体の倍加にも応用することができた. (3)数種のユリの懸濁培養細胞からプロトプラストを単離し,培養してコロニーを形成させることに成功した. (4)ユリにおける形質転換系の確立のために,カルスの増殖および器官形成に及ぼす選抜薬剤の影響を調査し,形質転換組織の選抜薬剤としてはハイグロマイシンおよびビアラフォスが適当であることが明かとなった.また,カルスへのアグロバクテリウムの接種により,gusA遺伝子の一過性発現が観察された.
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