研究概要 |
本年度は,AFLP法をモモの連鎖解析へ適用するために,実験条件などを検討した.安全性と操作性を向上させるために,SelectiveプライマーのEco RI側の5末端をFITCラベルし,DNAシーケンサーによる蛍光検出を試みた.RAPD法と同様に簡便性に優れ,多くのサンプルを効率的に検出できることが確かめられた.次に‘赤芽'と‘寿星桃'及びその後代を用いて,AFLPマーカーの遺伝様式とDNA多型の出現頻度をRAPD法と比較検討した.RAPD法では840のプライマーから60個の多型を得た.これに対してAFLP法では,わずか8種類の組み合わせで生じた334の増幅断片から23個(2.9バンド/プライマー)のDNA多型が親間で得られた。また,これらの多くは,F1及びF2個体に遺伝していることが確認できた.以上の結果から,AFLP法はRAPD法に比べ,品種識別,親子鑑定,マッピングなどの遺伝解析に効率よく利用できる手法であることが明らかとなった. 今後はマーカーとする形質を,離核/粘核及び果肉の白色/黄色にしぼり,それぞれの代表品種である‘あかつき'と‘黄金桃'のF1集団について,AFLP法による連鎖マーカーの作出の有効性を検討する.
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