研究概要 |
前年度の結果に基づき,AFLPをモモの“あかつき"と“黄金桃"の2品種,及びそれらのF_1雑種45系統について適用した.まず,本学農学部にあるALOKA社製DNAシーケンサーを用いてAFLPを試みた.この場合,赤外蛍光ラベルしたEcoフライマーの合成をALOKA社に委託し,他はライフテック社のキットを用いた.その結果セレクティブPCRにおいて増幅が認められず,ライフテック社のキットにおいて,フライマーの配列が変えられていることが示唆された.そこで,本学附属農場のアフライドバイオシステムズ社製310型DNAシーケンサーを用いてAFLPを行うことにした.“あかつき"と“黄金桃"は共に栽培種であり,遺伝的に比較的近いと予測されるので,Ecoフライマー7種とMseフライマー8種を用いて,51通りの組み合わせについて多型の有無を調べた.その結果15通りの組み合わせで多型が検出できた.これら全ての組み合わせについて,F_1雑種45系統の解析を行った.検出できた多型を,今回目的としている果肉色(白色/黄色)と粘・離核の形質に対比させたが,明確な結論は得られなかった.そこでより判定しやすいようにバルク分析を試みた.45系統の中で,本年度結実した43系統の形質を調べ,果肉色および核の粘離が共に明確に判定できた28系統について,白色12系統と黄色16系統,粘核19系統と離核9系統をそれぞれまとめてAFLP分析を行った.その結果,E/ACAとM/CACの組み合わせで,果肉色に関与すると考えられる多型を検出できた. 以上総括すると,AFLP分析は親子鑑定,品種識別などに対して従来法より極めて有効であるが,遺伝的に近い個体間では,他の方法と同様に多型の検出が困難である.しかし,これは用いる制限酵素を変えることで克服できると考える.また連鎖地図の作成については,やはりF_2雑種の育成が不可欠であると言える.
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