研究課題
平成9年度の研究成果は次のとおりである。1 果汁中の糖度を高めるためには、樹に水ストレスを与えることが必要である。水ストレスの程度が強いほど糖度が高くなる。しかしながら、水ストレスが強すぎると樹勢が弱り、翌年以降の収量低下を招く。このとき、VA菌根菌が共産していると、葉の光合成速度もあまり低下せず、樹の水ストレス抵抗性が非常に高まることが確認できた。2 よくVA菌根菌が感染している雑草の根の近くに果樹の根が伸びてくると、その果樹の根にもよく感染することが確認できた。春草では、スイバ、カモジグサ、ハコベ、クサフジ、ウマゴヤシ、ホトケノザなどの根に感染率が高いのに対し、スズメノカタピラ、ヨモギ、ヤブカラシ、ヒルガオなどは感染率が低い。夏草ではギョウギシバ、カズノコグサ、メヒシバ、ツユクサ、カタバミなどが高く、エノコログサ、ノゲシ、ムラサキカタバミ、ハマスゲ、スベリヒユ、スギナなどが低い。また、バヒアグラスには非常によくVA菌根菌が感染することが明らかになった。3 バヒアグラスの根を材料としてメタノール抽出したのち、分画精製した化学物質のなかにはVA菌根菌の菌糸を生長させるものがある。さらに、みかんのジュースかすからの抽出物中にも生長を促進する物質が存在していることも分かってきた。そういった物質を添加することでこれまで困難とされてきたVA菌根菌の大量増殖への見通しが開けてきた。
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