1.ブラシノライドによる低温軽減効果 低温ストレスのシグナル伝達を司るマーカーを探索するために、低温感受性植物の選抜候補であるキュウリとイネを用いて、低温ストレスに対するブラシノライドの軽減効果について処理濃度、低温処理温度、生育段階などを検討した。キュウリよりイネが材料として優れていること、低温処理前薬剤処理が軽減効果が顕著であることが確認された。ここで確立した条件を用いて軽減作用の生理生化学的マーカーを検索しているところである。 2.ブラシノライドの代謝 キュウリ幼植物と培養細胞を用いてブラシノライドの代謝を行った。その結果、吸収されたブラシノライドは初めに異性化を受け、その後に複合体を形成する代謝経路が両者に共通して確認された。異性化した化合物の構造を明らかにするために、予想される全ての異性体を合成して、その機器(GC/MS)分析データの比較を行う方針をとっている。現在可能性として最後に残された化合物の合成を行っているところである。平行して複合体の精製を行い、機器分析に供試しうる段階までにほぼ到達することができた。 3.持続性活性化合物のデザイン 膜透過性が高く、ターゲットサイトへの到達量が多く、インドール酢酸並みの生物活性を有し、合成が容易で、安価で持続性の高い化合物をデザインするということを目的として約10種類の化合物を合成した。その中から二種類の有望な化合物について大量合成と生物活性について検討を行っている。
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