研究概要 |
カンキツかいよう病菌よりXanthomonas属細菌の多くに共通してみられる核局在生配列、ロイシンリッチリピート、遺伝子の中央部にはいずれも102塩基を1単位とする約20からなる繰返し配列を持つ特徴的非病原力(avr)遺伝子と相同性を示す3領域(APL1,APL2,APL3)をクローニングし、それぞれの塩基DNA配列を決定した。その結果、これらのAPLには、上記Xanthomonas属細菌avr遺伝子と高い相同性を示す翻訳領域(apl1,apl2,apl3)がそれぞれ存在しており、それらの間の相同性は非常に高く、上記繰返し配列部においてのみ違いが見られた。即ち、これらの遺伝子はいずれも全く同一のロイシンリッチリピート及び核局在性配列を持つことが判明した。次に、これらの遺伝子をTn5挿入による病原性欠損変異株にそれぞれ導入したところ、apl1の場合は完全に野生型と同程度の病原性に回復させ、apl2は病徴発現までに二倍の期間を要する不完全な相補性を示した。apl3は全く病原性を回復させなかった。これらの結果から、かいよう形成能は上記繰返し配列部に依存すること、また、繰り返し部における二次構造の比較から、かいよう症状を呈するために必要な構造に情報を得ることが出来た。次に、apl1を発現ベクターに接続し、大量生産させた後、純化して、マウスを用いて抗体を作成した。ここに、本研究課題のApl1の標的分子を探索する準備ができた。
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