研究概要 |
1. Polymyxa属菌の分化型とウイルス伝搬との相互関係の解析 Polymyxa属菌の分化型には,P.gr aminisとP.bet aeがあり,さらにp.bet aeには,テンサイやアカザなどに寄生する分化型が存在する.アオビユから分離したP.bet ae f.sp.amar anthi菌とスベリヒユから分離したP.bet ae f,sp.por tulacae菌がBNYVVを伝搬するかどうかについて検討した結果,いずれの菌もウイルスをうつすことが出来なかった.すなわち,BNYVVは,テンサイに寄生するP,bet aeによって特異的に伝搬されることがわかった. 2. ウイルス変異株を用いた伝搬試験 BNYVVのRNA3,RNA4およびRNA5のcDNAを作成,プラスミドpUC119にクローニングし,その5'末端にT7プロモター配列を付加したクローンを構築し,in vitroで感染性のある転写系を確立した..人工的に作成せたRNA3,RNA4,RNA5をRNA1とRNA2を含む分離株のRNAとともに接種し,発病および菌伝搬に及ぼす影響について検討した.その結果,RNA3とRNA5は病原性に関与していることが,検定植物,テンサイ根への接種試験から証明した.RNA5またはRNA3にRNA4が加わると菌による伝搬性が向上し,ウイルスの安定性が高まった. 3. 菌伝搬に関与するウイルス遺伝子のタンパク質発現系の確立 菌伝搬性に関与するP25,P26,P31タンパク質遺伝子を大腸菌の系を用いて発現させ,ウサギに免疫し抗体の作成を試みたところ,P25,P26については,特異的抗体が得られた.ウイルス感染植物からウェスタンブロッテングによりP25およびP26タンパク質を検出することができた.ツルナ接種葉では,病斑の出現前からタンパク質の発現が確認され,これらのタンパク質はBNYVVのウイルスの増殖や病徴出現に強く関与していることが示唆された.
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