研究概要 |
1.BNYVV変異株を用いた伝搬性および病原性機構の解析 BNYVVのRNA3にコードされているP25タンパク質の内部欠失変異株と野生株をもつPolymyxa betae菌を作成し,テンサイの感受性品種と抵抗性品種の幼苗に接種した.その結果,細根のウイルス濃度に変異株と野生株の間に,また感受性,抵抗性品種間に差はみられなかった.しかし,ウイルス接種苗を温室,ほ場に移植し栽培したところ,野生株接種の感受性品種では激しい病徴を示し,ウイルスが主根に移行していたが,抵抗性品種では病徴が回復し,その主根からウイルスは検出されなかった.一方,変異株接種の場合,両品種とも無病徴で,すべての主根からウイルスが検出された.以上の結果,P25タンパク質は,感受性品種ではそう根症状を起こし,抵抗性品種では,根のウイルスの増殖を抑制する機能をもつと推定された. 2.BdMVの遺伝子構造と菌伝搬性の解析 ゴボウから分離されたゴボウ斑紋ウイルス(BdMV)のゲノム構造を解析した結果,BdMVはRNA1とRNA2の分節ゲノムから成り,3'末端はポリA鎖配列であった.RNA1は,7038塩基から成り,複製に関与する3つのモチーフを含む249kDaのタンパク質をコードするORFが認められた.RNA2は4315塩基から成り,5'末端からCP,CPの読み過ごしタンパク質,TGBタンパク質,システイン豊富なタンパク質をコードするORFが存在していた.BdMVの遺伝子構造はBNYVVのそれと極めてよく類似しいた.RNA1の各モチーフ間で62-81%,CPで38%,TGBで34-50%の相同性がみられた.以上からBdMVはBNYVVと同一の起源をもつウイルスと推定された.またCP読み過ごしタンパク質の存在はBdMVの媒介者は菌類である可能性を示唆している.
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