1.付着器の形態分化時に特異的に発現する遺伝子の探索、および構造・機能解析 ウリ類炭そ病菌の侵入器官の形態分化に特異的な遺伝子の構造、機能解析を目的とし、付着器形成時発現遺伝子の均一化cDNAライブラリーの作製に成功した。このライブラリーについてDifferential screening法により発芽・付着器形成時特異的に発現するcDNAの選抜を行い、4種の特異的cDNAを同定した。これらの遺伝子について構造・機能解析を行った。 2.付着器の形態分化を誘導する環境要因と環境応答機構の解析 付着器の形態分化と外的環境刺激の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。ウリ類炭そ病菌においては、植物葉表面の可溶性成分が胞子発芽を誘導し、この反応にcAMP依存蛋白質リン酸化酵素が信号伝達系として関与している可能性を示す実験結果を得た。また、MAPキナーゼ信号伝達経路について検討を加え、MAPキナーゼ遺伝子のクローニング、構造・機能解析を行い、本信号伝達経路が胞子発芽、付着器形成、植物細胞内進展に多面的に関与していることを明らかにした。さらに、メラニン合成系遺伝子の転写因子(CMR1)をクローニングし、機能解析を行った。本遺伝子はCys6 zinc binuclearとCys2His2 zinc fingerの2つの異なるDNA結合モチーフをもつ極めてユニークな転写因子であることを明らかにした。
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