研究概要 |
1, 前年度において、2段階培養による「新規なクワ高頻度個体再生系」を確立した。この培養実験系では、実生苗の葉底部組織から高率に不定芽が形成され、この不定芽は発根誘導能カを有し、完全な個体にまで再生することができる。噴射型遺伝子銃装置を用いて、β-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を葉底部組織に直接撃ち込むことを検討した。供試したプラスミドは、CaMV-35Sプロモターの下流にGUS遺伝子を連結した発現プラスミド(pBl 221)であった。遺伝子の導入効率は、撃ち込み条件と標的葉組織の条件によって大きく左右されることか明らかになり、これら条件を最適化した結果、GUS遺伝子の安定的な一過性発現が検出された。このことから、這伝子銃を用いて形質転換体を作出できる道が拓かれた。 2, 実生苗の根から増殖能の高いカルスラインを分離した。このカルスラインがら得られる懸濁培養細胞から、生存率の高いプロトプラストを酵素的に分離した。エレクトロポレーションにより、pBl 221をこのプロトプラストに導入して、その一過性発現を検討した。電場強度、パルス幅を最適化することにより、20〜30%のプロトプラストでGUS活性か検出された。この遺伝子導入系の確立により、高発現用プロモターの探索研究が促進されるものと期待される。また、プロトプラストからの個体再生系を確立することにより、形質転換体が作出できると考えられる。
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