熱帯の酸性土壌に生育し、Al耐性が非常に強いMelastoma malabathricum、 Acacia mangium、およびMelaleuca cajuputiと、典型的なAl感受性植物であるオオムギ(Hordeum vulgare)の幼植物の生育に与える窒素源(2 mM NH_4^+あるいは 2 mM NO_3^-)とAl(0あるいは0.5 mM Al)の影響を調査した。熱帯植物種の生育はAlおよびNH_4の添加によって促進された。M.malabathricumの切断根はNH_4添加により根圏の不溶性Alを可溶化し、そのAlを主に根端から吸収した。オオムギを除いて、Alは葉のN含有率に影響しなかった。M.cajuputiの根は多量のクエン酸を放出し、その放出量は_+Al処理によって若干増加した。A.mangiumでは、+Al+NH_4処理培養液中の可溶性AlのPCV(ピロカテコールバイオレット)に対する反応性が低く、また、この処理におけるA.mangiumの根のAl含有率は非常に低かった。M.malabathricumの根は、H^+をNH_4^+吸収時だけではなくAl吸収時にも放出した。結論としてAlとNH_4^+は熱帯木本種にとって有益な効果を持つといえる。 メラストーマの切断根のAl吸収にはH^+の放出が伴われ、そのモル比(Al:H^+)は1:3であった。このH^+放出はCOCPの影響を受けなかったことから、代謝エネルギー依存ではない。このことに加え、切断根実験におけるAlのほとんどがアポプラストに存在していたことから判断すると、アポプラストに流入したAlは根の細胞壁の陽イオン交換基に結合しているH^+と交換し、保持されていると考えられる。この交換基に対する親和性はCa^<2+>(細胞の保持のため全ての溶液に添加、Al不在時は根からのH^+放出はほとんど無し)あるいはLa^<3+>よりもAl^<3+>のほうが高く、交換基の配置がAl特異的なものになっているのかもしれない。
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