研究概要 |
Ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxgglnase(Rubisco)は,光合成の炭酸固定ならびに光吸収の初発反応を担う酵素であり,その量が特異的に多いことで知られている。しかしその葉の老化に伴う分解機構については断片的に分っているにすぎない。本研究はコムギ葉を材料にin vitro系におけるRubiscoの分解について検討し,光に依存してRubisco大サブユニットが断片化されることを見出し,その分子機構について解析したものである。これまでの研究により1)Rubiscoは光照射下の葉緑体,およびその大破砕液において37kDa,16kDaのフラグメントへと部位特異的に断片化される。2)光はチラコイド膜における過酸化水素の生成還元型遷移金属の生成に関与する。3)精製Rubiscoを活性酸素種のヒドロキシルラジカル発生系にさらした場合も同様の部位特異的な切断が認められる。4)Rubisco大サブユニットの切断部位は活性中心に位置するGly^<329>近傍である。5)断片化はRubiscoの田か次構造に関係し、CO_2,My^<2+>,反応中中間体アナログの結合により影響をうける。これらの結果より,現段階において,「Rubiscoの光照射下での断片化はヒドロキシルラジカルにより直接引き起こされると結論した。
|