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1998 年度 実績報告書

植物が生産する低分子化合物によるAlストレス耐性獲得の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 09460038
研究機関岡山大学

研究代表者

松本 英明  岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)

研究分担者 江崎 文一  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90243500)
山本 洋子  岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
キーワード酸性土壌 / アルミニウム / 毒性 / 耐性獲得 / 低分子物質 / 植物
研究概要

根からアルミニウム(Al)キレート物質の分泌がアルミニウム耐性機構の一つとされている。シュウ酸を分泌するソバとクエン酸を分泌するエビスグサを用いて、生理生化学的な手法により、シュウ酸やクエン酸の分泌特性を解析した。
ソバにおけるシュウ酸の分泌部位は根の先端から1cmまでのところに限られていることを明らかにした。シュウ酸の分泌はリン酸欠乏やランタンによって誘導されず、Alによる特異的な応答反応を示した。3時間のAlパルス処理で8時間までシュウ酸の分泌が認められたが、その後シュウ酸の分泌がなくなった。アニオンチャンネル阻害剤のうち、シュウ酸の分泌に対して、A-9-CとDIDSの影響が認められなかったが、PG(10μM)の添加によってシュウ酸の分泌が50%ほど減少された。Al(25μM)またはPG(10μM)のみの場合、根の伸長阻害は見られなかったが、AlとPGが共存する場合、根の伸長が40%ほど阻害された。この結果は根から分泌されるシュウ酸がAl無毒化に重要な役割を果たしていることを示している。
エビス草では、Al処理後6時間までクエン酸の分泌が非常に少なく、その後急速に増加することが明らかとなった。Alで3時間処理後、クエン酸で根のAlを除去してもその後のクエン酸の分泌パターンは変わらなかった。これらの結果はアルミニウムによるクエン酸の分泌には数時間の誘導期間が必要であることを示唆している。
上記の結果により、植物の種類によって根から分泌されるアルミニウムキレート物質が異なるるだけではなく、分泌の過程も異なる。このことは植物の種類に適した耐性機構がそれぞれ発達してきたことを示唆している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Ma.J.F.: "Specific secretion of citric acid induced by Al stress in Cassia tora L." Plant Cell Physiol.38(9). 1019-1025 (1997)

  • [文献書誌] Yamamoto,Y.: "Oxidative damage to membranes by a combination of aluminum and iron in suspension-cultured tobacco cells." Plant Cell Physiol.38. 1333-1339 (1997)

  • [文献書誌] Ezaki.B.: "Protective roles of two aluminum (Al) induced genes,HSP150 and SED1 of Saccharomyces cerevisiae,in Al and oxidative stress." FEMS Microbiology Letters. 159. 99-105 (1998)

  • [文献書誌] Ma.J.F.: "High Al registance in Buckwheat.II.Oxalic acid detoxifies aluminium internally." Plant Cell Physiol.117. 753-759 (1998)

  • [文献書誌] Zheng,S.J.: "High Al resistance in Buckwheat.I.Al-induced specific secretion of oxalic acid from root tips." Plant Physiol.117. 745-752 (1998)

  • [文献書誌] Ando,T.,Matsumoto,H.at al: "Kluwer Academic Publishers" Plant Nutrition for Sustainable Food Production and Environment, 972 (1997)

  • [文献書誌] 松本英明(分担): "朝倉書店" アルミニウムの毒性.土と食糧(日本土壌肥料学会編), 212 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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