研究概要 |
経時的に根圏土壌を採取できるリゾボックスの作成を試みた。根圏土壌は口径50umと25umのプランクトンネットで各区画を分別し、田面より2cmの深さに埋設し、それ以深には水稲根が侵入できないように設定した。このリゾボックスを用いて、前期は網室においてヒノヒカリを、後期はファイトトロン(25℃,RH75%)でコシヒカリを栽培した。栽培には、北陸農業試験場のAl-モンモリロナイト主体の水田土壌と、熊本農業研究センターのAl-腐植複合体とアロフェンを主体とする水田土壌を用いた。根圏土壌は10日に一度の割合で採取し、1:5水抽出液のNH4_+濃度と、pH7.0リン酸緩衝液抽出の有機態Nを測定した。 NH4_+濃度プロファイルは、土壌のコロイド組成によって異なっていた。スメクタイト質土壌よりも黒ボク水田で、根近傍のNH4_+濃度変化が大きかった。しかし、前期の栽培では、生育10日後以降、水補給孔のガラス繊維ろ紙に、糸状菌が大増殖したため、透水係数が極度に低下し、リゾボックス下部からの水供給が行えなくなってしまった。そこで、根圏における有機態Nの変化が、現実の圃場を再現できずに終わってしまった。 その後、リゾボックスの改良に試行錯誤を重ね、水補給孔を新規に作成した。しかし、後期のファイトトロン(25℃,RH75%)においても、同様の困難が生じ、有機態Nに対する昨年度の仮説を証明することが出来ずに終わってしまった。現在、この問題を回避する方法を模索している。
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