(1) 大腸菌のrpoS^+およびrpoS欠損株(rpoS::Tn10)の転写産物について、PNaseプロテクション法を用いて調べた結果、唯一のrpoS依存性katE転写産物が確認された。また、プライマー伸長法により、katE-orfの53または54nt(株によって異なる)上流に転写開始点を同定した。また、この領域を含む一連のDNA断片についてlacZ遺伝子との融合体を作成し、rpoS依存性プロモーターの位置を確認した。rpoS依存性のkatEプロモーターは、以前報告されていたものと異なる位置にあり、転写開始点の7-8bp上流にσ^<70>およびσ^<38>依存性大腸菌プロモーターと似た配列が-10領域として見い出されたが、σ^<70>依存性プロモーターに見られるような-35領域の配列は確認できなかった。(2)ラン藻Synechocystis sp.6803についてシグマ因子群の機能解析を行った結果、sigDおよびsigEの発現が窒素飢餓によって誘導されることが示された。さらに、野生株並びにsigDあるいはsigE破壊株について、窒素飢餓条件で生育した細胞の抽出液を二次元電気泳動法により調べた結果、発現に影響を受ける蛋白質があることが分かった。(3)紅藻および高等植物(シロイヌナズナ、イネ)について葉緑体(プラスチド)RNAポリメラーゼ・シグマ因子をコードする複数個の核遺伝子(sig)の存在を明らかにするとともに、それらの塩基配列(cDNA)を決定した。また、これらが大腸菌のRNAポリメラーゼ・コア酵素に対してシグマ因子活性をもつことを示した。
|