研究概要 |
(1)ラン藻Synechococcus sp.7942のrpoD3とrpoD4について大腸菌における過剰発現系を構築し、それぞれの蛋白質の精製を行った。また、同菌より精製したRNAポリメラーゼコア酵素(E_<syn>)を用いることによってin vitroにおけるホロ酵素の再構成と転写特異性について調べた。いずれのホロ酵素(E_<syn>σ^<D1>,E_<syn>σ^<D3>,E_<syn>σ^<D4>)もSynechococcus PCC7942のrrnA,cpcB1A1P1aおよびrpoD1プロモーターの他、大腸菌のtac,lacUV5,RNAIなどのプロモーターを認識することが分かった。また、プロモーターの中には3つのホロ酵素に対する相性が少し異なることが分かった。このことは、真正細菌のタイプIとタイプIIのσ因子によるプロモーター認識の特異性には重複(Specificity Cros stalk)があることを示している。(2)紅藻(Cyanidium caldarium RK-1)および高等植物(シロイヌナズナ、イネ、タバコ)について葉緑体(プラスチド)RNAポリメラーゼ・シグマ因子をコードする複数個の核遺伝子(sigA,sigB,sigC,sigD,sigE)の存在を明らかにするとともに、それらの塩基配列(cDNA)を決定した。また、これらが大腸菌のRNAポリメラーゼ・コア酵素に対してシグマ因子活性をもつことを示した。A. thalianaのsigについては、RFLPマッピングによりsigAとsigBは染色体Iに、sigCは染色体IIIに位置することを明らかにした。C.caldarium RK-1のsigB,sigCについては、転写レベルにおける光による誘導がかかることを示した。
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