研究概要 |
(1)大腸菌のrpoS^+およびrpoS欠損株(rpoS::Tn10)を用いることにより、rpoS依存性のkatEプロモーターは以前報告されていたものと異なる位置にあることを示し、更に転写開始点の7-8bp上流にσ^<70>およびσ^<38>依存性大腸菌プロモータと類似した配列が存在するが、明確な-35領域配列は確認できなかった。C末端領域(CTE)が高塩濃度に対応するためのσ^<38>特有の機能領域であることを突き止めた。(2)ラン藻Synechococcus PCC7942株のグループ2σ因子がin vitroでラン藻ならびに大腸菌の代表的プロモータの認識に関わることを明らかにした。また、既にゲノムの全塩基配列が決定されているSynechocystis sp.6803についてプロテオーム解析を行い、sigDおよびsigEの発現が窒素飢餓によって誘導されることを示した。(3)紅藻および高等植物(シロイヌナズナ、タバコ、イネ)について葉緑体(プラスチド)RNAポリメラーゼ・シグマ因子をコードする複数個の核遺伝子(sig)の存在を明らかにするとともに、それらの塩基配列(cDNA)を決定した。また、これらの遺伝子産物が大腸菌RNAポリメラーゼ・コア酵素に対してシグマ因子活性をもつことを示した。シロイヌナズナについてはsigA〜sigCの他、sigD,sigE,sigF遺伝子を新たに見い出した。それらの染色体上の位置を決定すると共にuid及びGFP融合遺伝子による形質転換体を用いることにより光誘導性、局在化、発生過程における発現制御について解析を行った。プラスチド(葉緑体)への局在化、発生過程における逐次的発現を確認した。
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