研究課題/領域番号 |
09460049
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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研究分担者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
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キーワード | フルオロ酢酸デハロゲナーゼ / L-2-ハロ酸デハロゲナーゼ / パラカタリティック失活反応 / ヒドロキシルアミン / アンモニア / 立体構造モデリング |
研究概要 |
フルオロ酢酸デハロゲナーゼの反応において、Asp105の側鎖カルボキシル基が基質フルオロ酢酸のα-炭素を求核攻撃し、フッ化物イオンが脱離するとともにエステル中間体が生成し、ついでこれが加水分解されてグリコール酸が生成するという機構を、O-18の取り込み実験に基づいて推定した。この推定機構を検証するため、ヒドロキシルアミンおよびアンモニアを用いたパラカタリティックな酵素修飾反応を行った。その結果、いずれの求核試薬を用いた場合にも、Asp105が修飾され、アスパラギン酸β-ヒドロキサム酸残基およびアスパラギン残基にそれぞれ変化することが明らかになった。この結果は、Asp105が触媒残基であることを示している。本酵素の立体構造のモデリングを行い、活性中心付近の構造を調べた。エステル中間体を攻撃する水分子を活性化すると考えられるHis272はAsp105の近傍に位置した。基質からのフッ素引き抜きにあずかりうる位置にはArg106とTrp151が存在した。活性中心近傍は主として疎水性アミノ酸残基と塩基性アミノ酸残基から構成されていた。この環境はAsp105の側鎖カルボキシル基の求核性を高める効果があると考えられ、結合エネルギーの大きい炭素-フッ素結合を求核置換攻撃で切断する上で、重要な要因と考えられた。これに対し、フッ素脱離能のないL-2-ハロ酸デハロゲナーゼの活性中心近傍は、もっぱら親水性アミノ酸残基によって占められていた。
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