研究分担者 |
丸山 正 海洋バイオテクノロジー研究所, 釜石研究所, 主任研究員
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
今井 一洋 東京大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (50012620)
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048962)
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研究概要 |
我々は先に超好熱性古細菌Desul furococcus SYからアスパラギン酸ラセマーゼをコードする遺伝子を単離し,古細菌においてもアミノ酸ラセマーゼやD-アミノ酸が存在することを明らかにした.このD-アミノ酸やアミノ酸ラセマーゼがDesul furococcusに限らず他の古細菌にも幅広く存在するかどうかを明らかにするために,種々の超好熱性古細菌におけるアミノ酸ラセマーゼとD-アミノ酸の探索を行った.その結果,超好熱性古細菌Thermococcusの種々のStrainに遊離のD-アスパラギン酸が多量に存在することが分かった.そこで,既知のアスパラギン酸ラセマーゼの間で保存されているペプチド配列を基にプライマーを作成しPCRを行ったところ、遊離のD-アスパラギン酸が存在したThermococcus KS-1,2,8及びKIからアスパラギン酸ラセマーゼ遺伝子の一部と思われる遺伝子断片を単離することに成功した.現在,この遺伝子断片をプローブとして,Thermococcus KS-1及び8からアスパラギン酸ラセマーゼの全長遺伝子の単離を行っている.また,これらの菌には,アラニン,リジン,ロイシンなど他のアミノ酸のD体も比較的大量に存在していることが分かった.アスパラギン酸ラセマーゼはアスパラギン酸に特異的なのでこれらのD-アミノ酸の生成機構は不明である.また,同じ超好熱性古細菌であるPyrococcus GBD及びOIIからはD-アスパラギン酸もアスパラギン酸ラセマーゼ遺伝子のいずれも検出することができなかった.この結果は,D-アミノ酸やアミノ酸ラセマーゼの存在により超好熱性古細菌が分類されることを示している.
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