研究課題
基盤研究(B)
1.トドマツ海岸林が成立している砂丘3列を横断する2本のラインを、前面が枯損している個所と対照個所を基点として引き、地形測量を行った。このラインに沿って更新調査等を行う方形区を3個所設定した。10月に枯損個所前面に風向風速計を設置し、11月に地温、気温を測定するための温度計を設置して観測を開始した。2.海岸林を含む森林を代表する標準年輪を作成するため、樹齢100年以上の供試木を16本採取し、年輪計測を行い、クロスデ-ト中である。また、風衝地の年輪曲線を作成するため供試木24本から試料を彩取した。3.土壌中の塩素イオン、塩基伝導度(EC)、陽イオン(Ca、Na、Mg)等を測定するために、10個所で土壌表層から深さ50cmまでを3層に分割して試料採取を行った。4.第1砂丘の枯損個所周辺のトドマツ生存木128本の毎木調査から、平均樹高6.13±1.13m、樹冠幅は海側0.34±0.33m、内陸側1.18±0.47mが得られ、樹冠幅は海側が有意に小さくなっている。枝下高は砂丘前面で低く、砂丘上で高くなる傾向を示している。5.冬期の樹冠部の水ストレス状態を把握するために、枯損個所前面の生存木についてプレッシャーチャンバーにより樹冠上部の水ポテンシャルを11月と2月末に測定した。その結果、11月に-1.1メガパスカルであったものが2月末には-2.0メガパスカル前後となっていた。また、内陸部の砂丘上の樹高10m前後の樹冠部では1.6メガパスカルであり、砂丘前面のトドマツはかなり乾燥していることが分かった。