研究概要 |
本研究では,スルメイカを対象として,それらの資源変動に大きく関わる再生産機構の解明を目的としている.平成11年度に得られた成果は,下記の通りである. (1)平成10年度同様に,11年10月末から11月初旬の2週間,隠岐諸島周辺海域において,水温・水深センサー付水中ロボットカメラ(ROV),衛星画像情報(表面水温・クロロフィル)およびADCP(流れ場)による卵塊の探索,およびモックネスネットによるスルメイカ幼生の鉛直分布特性を調べた.今年度は,卵塊の分布を確認できなかったが,ふ化幼生の立体的分布特性を明らかにできた.幼生の分布特性から,隠岐諸島北から西の陸棚上で産卵された卵塊からのふ化幼生は,隠岐諸島東の暖水渦に集積する可能性が高いと推定された. (2)昨年に続いて,1995年以降の衛星画像を用いた再生産可能海域の季節的・経年的変化,および親イカ豊度とふ化幼生豊度の親子関係を調べた.その結果,得に2月の産卵可能海域の拡大・縮小が90年代でも確認された.1989年から3年間の好適な再生産環境がスルメイカ資源の増加をもたらしたと推定したが,92-93年の産卵場の縮小がその後の資源の一時的減少と関連し,94年以降の産卵場の拡大がその後の資源増加と関連すると推定された.
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