研究課題/領域番号 |
09460081
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
絵面 良男 北海道大学, 水産学部, 教授 (80001618)
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研究分担者 |
澤辺 智雄 北海道大学, 水産学部, 助手 (30241376)
吉水 守 北海道大学, 水産学部, 教授 (40122915)
田島 研一 北海道大学, 水産学部, 助教授 (80002252)
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キーワード | エゾアワビ / 消化管 / 定着経路 / Vibrio halioticoli / 抗生物質感受性 / 菌相置換 / コロニー交雑法 |
研究概要 |
本年度の成果は以下の通りである。 1.コロニー交雑法によるVibrio halioticoliの特異検出 前年度で、16s rRNA遺伝子の塩基配列の相違に基づいたPCR/RFLP解析が、V.halioticoliの特異検出に有効であることを示したが、本法は多数の供試菌株に応用した場合、迅速性を欠くことが示唆された。本年度は、より迅速かつ定量的に本菌種の特異検出が可能なコロニー交雑法を検討し、耐熱性アルカリフォスファターゼで標識したV.halioticoliの染色体DNAをプローブとし、平板上に生じたコロニーの中から本菌を4〜6時間で検出できることを示した。また、前年までにNMFと同定された菌株の96%がV.halioticoliであった。 2.アワビ養殖環境でのV.halioticoliの分布 コロニー交雑法を用い、北海道熊石町のアワビ養殖施設周辺環境での本菌の分布を定量的に調べ、飼育用原海水、飼育水、餌料微細藻培養槽、フン試料などから本菌が検出された。さらに、各試料の生菌数と本菌の検出率から、V.halioticoli生菌数を算出し、以下の結果を得た。 (1)飼育用原海水ではV.Halioticoli生菌数が3CFU/mlであったが、餌料微細藻付着画分で56CFU/mlと増加した。 (2)微細藻を摂餌したアワビのフン試料では23CFU/mlであったが、人工配合飼料摂餌個体のフン試料では1,000〜5,000CFU/mlと増加した。 従って、V.haliorticoliは、餌料微細藻類に付着してアワビ消化管に取り込まれ、さらに、配合飼料を摂餌することにより、アワビ消化管内が本菌の増殖しやすい環境に変化し、本菌が優占菌種となることが推察された。 3.アワビ消化管内細菌相の人工的置換法の検討 アワビ消化管内細菌相の人工的置換法を検討するための予備実験を行い、以下の結果を得た。 (1)V.halioticoliおよびアワビ消化管から分離されたVibrio属細菌が、クロラムフェニコール・ペニシリン・セフォタキシムに感受性を示すことを明らかにした。 (2)クロラムフェニコールおよびペニシリン含有飼料を作製し、これらが抗菌性を示すことを確認した。
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