研究課題/領域番号 |
09460082
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00160177)
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研究分担者 |
帰山 雅秀 水産庁さけます資源管理センター, 研究室長
内藤 靖彦 国立極地研究所, 教授 (80017087)
庄司 隆行 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (00241349)
浦野 明央 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (00142232)
原 彰彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (40091483)
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キーワード | シロザケ / ヒメマス / サクラマス / 母川回帰 / GnRH / ステロイドホルモン / 嗅覚 / 視覚 |
研究概要 |
サケの母川回帰行動が、視床下部一下垂体一生殖腺系から分泌されるどのホルモンにより制御されているかを解明するため実験を行い、以下の結果を得た。 1)石狩湾で捕獲したシロザケに生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRHa)を投与(雌雄各20尾)し、さらに遊泳水温・水深記録型マイクロデータロガーを装着(雌雄各5尾)し、放流して石狩川〜千歳川への遡上状況を観察したが、大部分は石狩湾内で放流直後に捕獲された。しかし、GnRHa投与魚は対照魚より母川回帰日数が短縮されていた。 2)支笏湖の母川に回帰したヒメマスにGnRHa、testosterone(T)、17a,20b-dihydroxy-4pregnen3one(DHP)を投与(雌雄各10尾)し、湖の中央に放流して、母川回帰日数と血中ステロイドホルモン量を時間分解蛍光測定法により測定した。GnRHaは雌雄とも、Tは雄、DHPは雌において母川回帰日数を短縮させた。GnRHaとDHP投与により雌雄とも血中DHP量が上昇していたが、T投与により血中T量は上昇していなかった。 3)ヒメマスとサクラマスの成熟および未成熟個体における母川識別能を解析するため、嗅神経応答を電気生理学的に測定したところ、嗅神経応答は生殖腺の状態に影響されないこと、および両魚種とも河川水のアミノ酸組成および濃度の違いを識別していることが、交差順応法により明らかになった。 今年度も継続して、北洋から千歳川に回帰するシロザケ、および洞爺湖と支笏湖に生息するヒメマスとサクラマスを用いて、上記1)〜3)の実験の検証、および新たな実験を行い、サケの母川回帰行動を制御するホルモンを明らかにする計画である。
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