研究課題/領域番号 |
09460082
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00160177)
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研究分担者 |
帰山 雅秀 北海道東海大学, 工学部, 教授 (80305937)
内藤 靖彦 国立極地研究所, 教授 (80017087)
庄司 隆行 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00241349)
浦野 明央 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00142232)
原 彰彦 北海道大学, 水産学部, 教授 (40091483)
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キーワード | シロザケ / ヒメマス / サクラマス / 母川回帰 / GnRH / ステロイドホルモン / 刷り込み / 嗅覚応答 |
研究概要 |
サケの母川回帰行動が、脳-下垂体-生殖腺系から分泌されるどのホルモンにより制御されているかを解明するため実験を行い、以下の結果を得た。 1) 石狩湾で捕獲したシロザケに生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRHa)投与実験を行ったところ、投与群は21尾中3尾が母川回帰したが、対象群19尾は1尾も母川回帰しなかった。また、遊泳水温・水深記録型マイクロデータロガーを8尾に装着して放流したところ、3尾が湾内で、2尾が母川で捕獲され、現在データを解析中である。 2) N-Methyl-D-aspartate(NMDA)型グルタミン酸受容体がサケ科魚類の刷り込み記憶の呼び出しに関与しているかを明らか似するため、NMDA受容体の阻害剤であるDL-2-amino-5-phosphono valeric acid(APV)とDizoci1ipine maleate(MK-801)を、支笏湖の母川じ回帰したヒメマスに投与し、湖の中央に放流して、母川回帰日数を対象群と比較したところ、APVとMK-801投与の両群の母川回帰日数が対象群に比べ有意に増加し、NMDA受容体がヒメマスの刷り込み記憶呼び出しに関与している可能性が示唆された。 3) サケ科魚類の母川識別能を解析するため、河川水中の胆汁酸と微量金属に対する嗅神経応答をサクラマスとニジマスを用いて電気生理学的に測定したところ、河川水の胆汁酸を識別している可能性は少ないこと、および微量重金属は嗅覚応答を阻害すること、が明らかになった。
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