研究課題/領域番号 |
09460084
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
若林 久嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011932)
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研究分担者 |
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70261956)
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20092174)
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キーワード | 異物 / 取り込み / 排除 / 皮膚 / マイクロインジェリー / マクロファージ / グルゲア胞子 / 蛍光標識 |
研究概要 |
1. 蛍光ラテックスビーズ(径1μm)の懸濁液にニジマス(3-10g)を浸漬した後、流水飼育し、20日後まで日を追ってサンプリングし、体表(皮膚、鰭)、脾臓、および腎臓の組織切片を光顕および電顕で観察した。その結果、ビーズを取り込んだ遊走性の上皮細胞は周囲の上皮の分裂にともないやがて最外層から離脱すること、真皮内のビーズは最終的にはマクロファージが貪食し、一部は表皮に遊走して上皮細胞にビーズを受け渡し、その上皮細胞もやがて最外層から離脱していくこと、しかし一部は脾臓や腎臓のメラノマクロファージセンターに集まること、などが明らかとなった。 2. アユ頭腎マクロファージによるグルゲア胞子の貪食とレクチンとの関係を調べた。胞子とマクロファージの接触でレスピラトリバーストを引き起こすためにはConA反応性の糖タンパクの認識が必要であることが示唆された。ConAで処理した胞子をアユに感染させたところ、対照区に比べ感染は軽度であった。このことから、ConA処理によってマクロファージへの胞子感染が著しく阻害されたか、マクロファージの殺胞子能力が高まった可能性が考えられた。 3. Uvitex2Bで染色したグルゲア胞子をアユに浸漬感染させ蛍光顕微鏡で観察した結果、体表に取り込まれる胞子の動態が追跡できた。また、胞子は体表粘液の刺激によって極管を弾出することはなかった。次に、胞子をfura-2AMで染色してからin vitroで極管弾出条件を調べたところ、過酸化水素の刺激により胞子内の細胞内カルシウム量が一時的に上昇し極管が弾出された。以上より、微胞子虫の感染は魚体表面のおそらくマイクロインジェリーから受動的に取り込まれた後、マクロファージにより貪食され活性酸素系で処理される段階で初めて極管が弾出され、放出された原形質細胞から発育環が始まると推察された。
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