研究課題/領域番号 |
09460088
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
室賀 清邦 広島大学, 生物生産学部, 教授 (30011993)
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研究分担者 |
西澤 豊彦 広島大学, 生物生産学部, 助手 (10222184)
中井 敏博 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60164117)
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キーワード | アワビ / 筋萎縮症 / ウイルス病 / 濾過性病原体 / 種苗生産 |
研究概要 |
昨年度はクロアワビ稚貝の筋萎縮症の原因は濾過性病原体であることを確認し、クロアワビ血球初代培養細胞を用いてウイルスを分離することに成功したが、その病原性を確認することはできなかった。そこで本年度は、原因体である濾過性病原体が紫外線および熱に感受性を示すことを確かめ、改めて原因体がウイルスであることを確認してから検討を進めた。確実に病気を再現し得ることが確かめられている病貝磨砕濾液を出発材料に原因ウイルスの特定を試み、以下の結果を得た。 1. 筋萎縮症自然発症クロアワビの磨砕濾液を20-35-50%%ショ糖不連続密度勾配遠心にかけ、得られたバンドに基づき20-35%および35-50%ショ糖密度分画に分けた。 2. 上記の両分画を電子顕微鏡にて詳細に観察したところ、35-50%分画には大きさ150〜200nmの球形ウイルス様粒子が散在的に認められたが、20-35%分画にはそのような粒子は認められなかった。 3. 35-50%分画をクロアワビ稚貝に接種し、140日間観察し、死亡貝および生残貝を病理組織学的に検査したところ、筋萎縮症が再現されたことが確かめられた。 4. 罹病クロアワビ磨砕濾液を220nmと100nmのメンブレンフィルターで濾過し、それぞれをクロアワビ稚貝に接種したところ、220nm濾過液にのみ病原性が認められ、原因体の大きさは100nm〜220nmの間にあることが分かった。 以上の結果から、35-50%分画に認められた大きさ150-200nmの球形ウイルスが本症の原因体であると判断されたが、念のために調べた外見的健康貝にも同様の粒子が観察され、結論を下すには至らなかった。
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