研究課題/領域番号 |
09460097
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三島 徳三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40002365)
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研究分担者 |
長沢 真史 東京農業大学, 生物産業学部, 助教授 (20217988)
久野 秀二 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10271628)
飯沢 理一郎 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60184339)
横山 英信 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (70240223)
細川 允史 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70295898)
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キーワード | 農産物価格政策 / 農産物需給調整 / 食料・農業・農村基本法 / WTO農業協定 |
研究概要 |
前年度に引き続き、主要品目別に農産物の価格政策と需給調整に関する資料収集と現地実態調査を行い、過去2年間の調査研究結果と合わせ総合的な考察を行った。そのうえで、研究代表者と研究分担者との研究協議の下に最終報告書をまとめた。得られた研究成果および知見は以下のごとく要約される。 1 1999年7月に「食料・農業・農村基本法」(以下、新農業基本法と呼ぶ)が制定され、第30条で価格政策の原則的廃止と担い手を対象とした価格補填対策の導入が示されたことから、農産物需給調整の必要性は従前に増して高まった。新農業基本法の制定に前後して、米、麦、大豆、甘味作物、生乳・乳製品を対象とした「新たな政策」が打ち出されたが、これらはいずれも価格形成を市場原理に委ねたうえで、当該農産物の価格変動に対応した価格補填対策と、直接的な所得補償を行う交付金制度を組み入れている。新たな交付金制度は、従来の価格政策に存在していた交付金制度(大豆、生乳)や売買逆ざや相当額(麦)の形を変えた継続であり、今後も同程度の交付金が交付されるならば、農業者の所得補填の効果があると判断される。 2 価格政策廃止に伴うもう1つの対策である価格補填対策のモデルは、「新たな米政策」(1998〜99年度)によって導入された「稲作経営安定対策」であり、2000年度から麦、大豆、生乳でも同様な対策が実施される。先行事例である米のケースについて検討した結果、価格安定対策との結び付きがないかぎり、その効果はきわめて少ないことが明らかになった。 3 調査研究の対象とした品目のいずれもが、農産物価格の安定のために、多かれ少なから生産者団体による需給調整を実施しているが、WTO農業協定によって輸入の防波堤が低くなった中では、その効果は実際的にも限られていることが明らかになった。
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