研究概要 |
水路やため池等の自然浄化機能を活用した農村地域の水質保全対策を明らかにするために、滋賀県内の小中の湖干拓地において14カ所の採水地点を設けて、水田地域からの排出負荷の実態調査を行った。 (1) 代かき期に水田から流出した汚濁物質はいったん幹線排水路に沈殿し、その後降雨時に巻き上げられて地区外に流出する実態が明らかとなった。 (2) 各水質項目のうち、窒素だけは代かき期よりも非漑期の方が濃度が高くなるが、非灌漑期には水路を流れる水は生活排水が主となるためであると考えられる。 (3) 本調査地区からの排出負荷はそのほとんどが農地からの負荷であるが、地区下流端に水質保全池を設けて循環灌漑を行うことによって、灌漑期で50〜60%、非灌漑期で20〜60%の負荷が除去されることが推測された。 (4) これらの自然浄化の実態はそのほとんどが沈殿によるものであり、幹線排水路や水質保全池での浚渫が不可欠であることが示された。 2. 集落排水処理水の再利用 愛媛県伊予市大平地区で実態調査を行った結果,NOx-Nについては,水田で濃度低下が見られることも多く,水田の浄化機能が有効に発揮されていることがわかった.しかし,SS・COD・T-P・T-N については,いずれも顕著な濃度低下は見られず,むしろ水田排水の濃度は灌漑水に比較して上昇している場合も多かった.なお,調査した水田での水稲生育には特に問題は見られなかった.
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