研究概要 |
水路やため池等の自然浄化機能を活用した農村地域の水質保全対策を明らかにするために、2つの分担課題について実証的研究を行った。 1.自然浄化機能の定量評価 滋賀県内の小中の湖干拓地において、水質汚濁の現状と水田地域からの排出負荷の実態調査を行った。 (1)代かき期に水田から流出した汚濁物質はいったん幹線排水路に沈殿し、その後降雨時に巻き上げられて地区外に流出する実態が明らかとなった。 (2)幹線排水路や水質保全池では滞留時間を長くとっても生物処理の効果は期待できず、沈殿作用だけであり、8〜24時間の滞留時間で十分であることが確かめられた。 (3)本調査地区からの排出負荷量と排水量の関係はL-Q式として指数関数で表される。この関係を用いて水質保全池の汚濁負荷削減効果を算定した結果、灌漑期には全ての水質項目について5割程度、また非灌漑期にもCOD、T-Nについては2〜3割、T-Pについては6割の汚濁負荷が削減できることが見込まれた。 2.集落排水処理水の再利用 愛媛県伊予市大平地区で実態調査を行った。集落排水処理水を水田に再利用した場合、COD、T-N濃度に若干の上昇がみられたが、NO_X-Nについては,水田で濃度低下が見られることも多く,水田の浄化機能が有効に発揮されており、集落排水処理水の水田への再利用は新しい水資源の確保手段として、また農地の自然浄化機能を活用した水質浄化法として、有効な手段であることが示された。
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