研究分担者 |
黒田 久雄 茨城大学, 農学部, 助教授 (20205256)
武田 郁郎 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (60227022)
高橋 強 京都大学, 農学研究科, 教授 (80021707)
廣谷 博史 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70218858)
櫻井 雄二 愛媛大学, 農学部, 教授 (00036427)
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研究概要 |
平成10年度に実施した内容は「現状調査」 「先進事例調査」 「関連資料収集」の3つに大別できる. 「現状調査」は,平成10年4月に供用を開始した集落排水施設の処理水を,溜池に一度貯留してから農地で利用しているI市O地区で行った.すなわち, 「集排施設処理水」 「溜池流出水」 「調査地区内の農業用水・排水」等について潅漑期を中心に定期水質調査を行い,それらの水質特性の実態を把握した.それにより,調査地区内の農地では,SS・COD・T-P濃度が低下することは稀であるが,NO_x-N濃度は低下することが多く,その傾向はNO_x-Nが比較的低濃度の用水であっても顕著に見られること等が明らかになった.また,調査地区内の代表的水田では,土壌の物理・化学性の調査を行い,そこでの水質変化の原因を考察するための基礎資料を整えるとともに,処理水が再利用された場合の,その土壌への影響も同時に検討した.また,溜池では,深さ方向の水質変化や底泥の成分調査も実施し,夏季には水温成層が出来ており,底泥が嫌気化して栄養塩類を溶出していることなどを明らかにした. 「先進事例調査」では,下水処理水を農業用水として再利用している全国的な先進事例について,その現場視察と担当者への聞き取りを行い,実情把握と蓄積された知見を収集した.具体的には,集排処理水を溜池に流入させて再利用をしている滋賀県の事例,集排処理水を循環潅漑の用水路に入れて反復利用を行っている島根県の事例,公共下水道処理水を河川水で希釈して利用している熊本県の事例などを調査した. 「関連資料収集」については,「下水や下水処理水利用に伴う農地土壌の物理・化学性の変化」に関する文献収集を特に重点的に行い,その知見をまとめた.
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