研究課題/領域番号 |
09460118
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 秀幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (70179513)
|
研究分担者 |
西澤 武明 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教務職員 (60089802)
藤井 伸治 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助手 (70272002)
東谷 篤志 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40212162)
|
キーワード | オオムギ / コムギ / 水分屈性 / 深播き耐性 / ジベレリン / ストレス耐性 / 高温障害 / 雄性不稔 |
研究概要 |
宇宙や砂漠などのフロンティア環境に適応可能な新植物の開発、フロンティア環境で有用な植物生長制御法の開発に資するための基礎研究を行ない、今年度は以下の知見を得た。 植物がストレス環境を回避するために機能する根の水分屈性に新たなタイプのエンド型キシログルカン転移酵素(EXGT)遺伝子が関与することを、EXGTの間接蛍光抗体法に世界ではじめて成功し、タンパクレベルでも証明した。 種々の外部環境ストレス要因が生殖細胞(配偶子)形成に及ぼす影響を分子レベルで明らかにすることを目的とし、オオムギを人工環境制御装置の中で育成し、花粉母細胞の減数分裂過程を明らかにして実験系を確立した。次に環境制御装置の温度を30℃(明期16hr)、25℃(暗期8hr)に5日間だけ上昇させた高温ストレスによる生殖生長への影響を、その生育ステージごとに調べた結果、オオムギの生殖生長においては、高温に感受性を示し雄性不稔を引き起こす時期が、幼穂の分化初期から減数分裂期以降の比較的長い期間に渡って存在することが明らかになった。また、これらの高温障害は、減数分裂の時期によって異なるメカニズムによって生ずることも明らかになった。 半乾燥地に適応した紅芒麦の深播き耐性にはエチレンによって促進される第1節間の伸長が重要な役割を果たすことを見いだしたが,その品種間差異をエチレン生成量およびエチレン感受性だけで説明することはできなかった。そこで、第1節間伸長に対するジベレリンの作用を解析した結果、深播き耐性にはジベレリンが不可欠で、とくに紅芒麦におけるジベレリンの作用が大きいことがわかった。さらに、紅芒麦は、光合成能力が高く、蒸散量が少なく、弱光・強光下における種子生産能力が高いこと、水中発芽能力が高いことを発見し、各種のストレスに耐性機構を持つ遺伝子資源として有用であることが示された。
|