研究課題/領域番号 |
09460118
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 秀幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (70179513)
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研究分担者 |
西澤 武明 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教務職員 (60089802)
東谷 篤志 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40212162)
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キーワード | オオムギ / キュウリ / コムギ / 環境ストレス / オーキシン / 水分屈性 / ジベレリン / 雄性不稔 |
研究概要 |
宇宙実験の結果、ウリ科植物の形態形成が重力によってネガティブに制御されていることを発見し、微小重力下におけるオーキシン制御遺伝子(CS-IAA1)の発現解析から、その機構をオーキシン閾値説によって説明した。そのためのオーキシン局在性の誘導にかかわるオーキシンキャリア遺伝子をクローニングし、その発現解析を行った。一方、CS-IAA1の属するAux/IAAタンパク質ファミリーが機能する際の標的タンパク質と予想されているAuxin Response Factorタンパク質をコードするcDNA(CS-ARF1〜CS-ARF5)をキュウリから単離し、その塩基配列の決定と構造解析を行った。また、光がペグ形成を阻害することを明らかにし、オーキシン局在性と光の関係を検討した。さらに新たにキュウリ主根およびアラビドプシスの根を用いた水分屈性実験系を確立し、遺伝子発現および突然変異体の解析から、水分屈性におけるオーキシン動態とアブシジン酸の重要性とともに、水分屈性超感受性突然変異体をみいだした。 乾燥ストレスを回避する目的で土壌深く播種されても出芽が可能な深播き耐性品種が、ジベレリンに超感受性であることを発見した。ジベレリンにより発現が誘導される転写因子GAMyb遺伝子発現を解析した結果、紅芒麦がジベレリンに超感受性であることを発見した。紅芒麦のジベレリンによる第一節間伸長にはカリウムイオンが不可欠であること、第一節間中のカリウムチャンネル遺伝子の発現がジベレリンによって誘導されること、ジベレリンにより第一節間の細胞のカリウムの取り込みが促進されることを明らかにした。また、ジベレリンによる第一節間伸長には細胞壁分解酵素活性の著しい増大を伴い、Endoglucanase EI遺伝子の発現誘導が認められた。これらの結果から、紅芒麦の深播き条件における第一節間伸長にはジベレリンと浸透圧調整物質としてのカリウムイオンが重要な役割を担うことが示された。 前年度までにオオムギを用いて、人工的に高温ストレスにより不稔を誘導する系を確立し、異常となる生殖器官・細胞の形態解析を行った。本年度は、この不稔現象に関与している可能性のある遺伝子としてカルシウム依存性タンパク質リン酸化酵素遺伝子に着目し、RT-PCR法による遺伝子発現解析を行い、カルシウム依存性タンパク質リン酸化酵素遺伝子が高温耐性に関与している可能性を示した。また、高温処理区(30℃/25℃5日間)と対照区(20℃/15℃)のオオムギの幼穂(第5葉展開期)から抽出したmRNAを用いて、Serial Analysis of Gene Expression(SAGE)法による解析を行い、cDNA由来のTag配列の塩基配列を決定した。その結果、非処理区と高温処理区で発現の明らかに異なる遺伝子群を見出した。
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