研究概要 |
本年度は、各樹種のガス交換量およびキョウチクトウ樹木群の大気浄化能、さらに土壌中からのCO_2放出量などについて検討した。 (1)33樹種について、CO_2濃度350,700ppmのもとで個葉の光合成速度を測定した。CO_2倍増によって光合成速度は、1.0-2.4倍であり、平均1.4倍であった。増加率は常緑樹が落葉樹に比べ大きい傾向にあった。 (2)ビニールハウスを利用したフィールドチャンバー法により、キョウチクトウおよびヒノキ群落におけるCO_2吸収量およびNO_2,O_3の大気汚染質浄化能を測定した。CO_2濃度の倍増により、キョウチクトウ群落のCO_2吸収量は50〜80%増加したが、蒸散速度が低下すなわち気孔抵抗の増大にともなって汚染浄化能も低下した。ヒノキ群落では、CO_2濃度上昇による蒸散速度の低下は少なく、浄化能への影響は少なかった。 (3)土壌呼吸量は、閉鎖系法で計測した。CO_2濃度が400-600ppmのとき黒ボク土のササの林床における土壌呼吸量は、0.3〜0.8mgCO_2m^<-2>s^<-1>で、高温期の日中に高い値であった。また、森林、畑地などの土壌呼吸量については文献整理により、それらの比較を行った。 (4)次年度に高CO_2濃度下の木本植物群の環境緩和機能についてまとめる予定である。
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