ニワトリ始原生殖細胞(PGCs)の動態を知るための一連の研究を行い、以下のことが明らかになった。 1) ニワトリ初期胚血液中の平均PGCs濃度はステージ13〜15までの間で最も高く、約60個/μlであったが、ステージ16以降急激に低下し、ステージ17では正常なPGCsほとんど認められなかった。 2) しかしながら、ステージ13から15にかけてのニワトリ初期胚血液中の平均PGCs濃度は卵間での差異が極めて大きかった。 3) 2)で述べたニワトリ初期胚血液中の平均PGCs濃度の卵間の違いは何に起因するかを調べる事を目的にまず一個の卵から3時問おきに採血を行い、初期胚血液中の平均PGCs濃度の個体内変動を調べた。その結果、PGCs濃度が高い卵と低い卵が存在することが明らかになった。 4) そこで、特定の雌個体がPGCs濃度の高い、または低い卵を生産すると仮定し検討を行った。 その結果、実験に用いた7羽の雌個体の内、1羽の生産した卵においては平均90個/μlと極めて高い濃度のPGCsが循環している一方、他の一羽が生産した卵においては平均PGCs濃度が約20個/μlと極めて低い濃度のPGcsしか循環していなかった。 5) 以上の結果より、2)で認められた極めて大きなニワトリ初期胚血液中の平均PGCs濃度の卵間での差異は、卵を生産した雌鶏の違いに起因することが明らかになった。
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