1998 年度実績報告書

開口放出の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	09460134
研究機関	北海道大学
研究代表者	葉原芳昭北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30142813)
キーワード	涙腺 / 開口放出 / カルシウム / 副腎髄質 / 肥満細胞 / 光増感物質 / スルフォローダミン / 一重項酸素
研究概要	モルモット涙腺ではカルバコール(CCh)刺激で腺房細胞の[Ca^<2+>]_iが上昇し、開口放出像が観察された。筋上皮細胞も[Ca^<2+>]_i上昇後4-8秒で収縮した。ノルアドレナリン(NA)、アドレナリン(A)で腺房細胞の[Ca^<2+>]_iが上昇したが、筋上皮細胞では無効であった。Ca^<2+>除去下で、CChとNAによる[Ca^<2+>]_i上昇が筋上皮細胞では抑制されたが腺房細胞のCChに対する反応は不変であった。イソプロテレノールは[Ca^<2+>]_iに無効であったが時々開口放出を引き起こした。涙腺の腺房細胞と筋上皮細胞は異なるアゴニストに反応する異なる細胞内情報伝達系を持っていると考えられた。ラット副腎髄質細胞では胎生14〜16日目、DBH陽性、PNMT陰性であり細胞に分泌顆粒はほとんど認められずCCh刺激で開口放出は起こらなかった。分布神経に分泌顆粒はなかった。メサコリン(MeCh)、ニコチン(Nic)とも[Ca^<2+>]_iを上昇させなかった。胎生18〜20日にPNMTも陽性となり、分泌顆粒も認められた。CCh刺激で開口放出が起こり、神経に顆粒が認められた。[Ca^<2+>]_iにはMeChは無効であったがNicは多くの細胞で上昇させた。生後2〜3日から1週目で多くの細胞で両合成酵素陽性であったが、一部の細胞でDBHのみ陽性であった。A細胞とNA細胞が区別できた。MeChは軽度の[Ca^<2+>]_i上昇を惹起したがNicは大きな上昇を引き起こした。一部の細胞がNicのみに反応した。髄質細胞の発達と分布神経の発達がコリン作動性分泌機序の発達に連動しており、ニコチン作動性機序がムスカリン作動性機序に先行していると示唆された。光増感物質のSALPcをラット腹腔内肥満細胞の灌流液に添加し、光照射を与えるとcompound48/80刺激による開口放出が抑制されることがスルフォローダミン(SFRB)染色で確認された。[Ca^<2+>]_iは光増感作用を加えても上昇した。一重項酸素消去剤のNaN_3が開口放出抑制を解除したことから、光増感作用で産生された一重項酸素が開口放出機序の[Ca^<2+>]_i上昇以降の過程を阻害していると示唆された。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] 堀淳二他: "ニューロン・グリア共培養系における細胞外グルタミン酸負荷による神経細胞死(Glutamate-induced neurotoxicity in neuron-astrocyte co-cultures from the embryonic rat cortex)" 信学技法(Technical Report of IEICE). 3. 79-84 (1998)
[文献書誌] Oomori,Y. et al.: "Muscarinic and nicotinic receptor-mediated Ca^2 dynamics in rat adrenal chromaffin cells during development." Cell Tissue Res.294. 109-123 (1998)
[文献書誌] 佐藤秀臣他: "ニューロン・グリア共培養系における細胞内カルシウム上昇によるニューロン死(Long-lasting intracellular calcium elevation causes nuronal death in neuron-astrocyte co-cultures)" 信学技法(Technical Report of IEICE). 6. 7-12 (1998)
[文献書誌] 吉橋一隆他: "ラット膵島のグルコース刺激による[Ca^<2+>]_i上昇におけるNa^+/Ca_<2+> exchangerの役割" 第75回日本生理学会大会予稿集. 273 (1998)
[文献書誌] Yoshihashi,K. et al: "Contribution of Na^+/Ca_<2+> exchanger to glucose-induced [Ca^<2+>]_i increase in rat pancreati islet." Jpn.J.Physiol.(in press). (1999)
[文献書誌] Sweity,J.H. et al.: "Acute oxidative stress modulates secretion and repetitive Ca^<2+> spiking in rat exocrine pancreas." Biochim.Biophys.Acta.(in press). (1999)
[文献書誌] 葉原芳昭: "最新の臨床病理The Veterinary Clinics of North America獣医臨床シリーズ" 学窓社, 210 (1998)

1998 年度 実績報告書

開口放出の分子機構に関する研究

研究代表者

葉原 芳昭 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30142813)

研究成果

[文献書誌] 堀淳二 他: "ニューロン・グリア共培養系における細胞外グルタミン酸負荷による神経細胞死(Glutamate-induced neurotoxicity in neuron-astrocyte co-cultures from the embryonic rat cortex)" 信学技法(Technical Report of IEICE). 3. 79-84 (1998)

[文献書誌] Oomori,Y. et al.: "Muscarinic and nicotinic receptor-mediated Ca^2 dynamics in rat adrenal chromaffin cells during development." Cell Tissue Res.294. 109-123 (1998)

[文献書誌] 佐藤秀臣 他: "ニューロン・グリア共培養系における細胞内カルシウム上昇によるニューロン死(Long-lasting intracellular calcium elevation causes nuronal death in neuron-astrocyte co-cultures)" 信学技法(Technical Report of IEICE). 6. 7-12 (1998)

[文献書誌] 吉橋一隆 他: "ラット膵島のグルコース刺激による[Ca^<2+>]_i上昇におけるNa^+/Ca_<2+> exchangerの役割" 第75回日本生理学会大会予稿集. 273 (1998)

[文献書誌] Yoshihashi,K. et al: "Contribution of Na^+/Ca_<2+> exchanger to glucose-induced [Ca^<2+>]_i increase in rat pancreati islet." Jpn.J.Physiol.(in press). (1999)

[文献書誌] Sweity,J.H. et al.: "Acute oxidative stress modulates secretion and repetitive Ca^<2+> spiking in rat exocrine pancreas." Biochim.Biophys.Acta.(in press). (1999)

[文献書誌] 葉原 芳昭: "最新の臨床病理The Veterinary Clinics of North America獣医臨床シリーズ" 学窓社, 210 (1998)

1998 年度実績報告書

葉原芳昭北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30142813)

[文献書誌] 堀淳二他: "ニューロン・グリア共培養系における細胞外グルタミン酸負荷による神経細胞死(Glutamate-induced neurotoxicity in neuron-astrocyte co-cultures from the embryonic rat cortex)" 信学技法(Technical Report of IEICE). 3. 79-84 (1998)

[文献書誌] 佐藤秀臣他: "ニューロン・グリア共培養系における細胞内カルシウム上昇によるニューロン死(Long-lasting intracellular calcium elevation causes nuronal death in neuron-astrocyte co-cultures)" 信学技法(Technical Report of IEICE). 6. 7-12 (1998)

[文献書誌] 吉橋一隆他: "ラット膵島のグルコース刺激による[Ca^<2+>]_i上昇におけるNa^+/Ca_<2+> exchangerの役割" 第75回日本生理学会大会予稿集. 273 (1998)

[文献書誌] 葉原芳昭: "最新の臨床病理The Veterinary Clinics of North America獣医臨床シリーズ" 学窓社, 210 (1998)