牛散発型白血病の子牛型から樹立された腫瘍細胞株BTL-26はc-myb遺伝子のエクソン9内に12塩基対からなるリピート構造と9塩基配列からなる配列が存在する。また、この腫瘍細胞株には80KDaの正常なc-myb蛋白とエクソン9を完全に欠失した60kDaの欠失型c-myb蛋白の2種類が発現している。本年度は、エクソン9内の12塩基対のリピート配列を人為的に変異させることにより、変異型リピート構造へのc-myb蛋白の結合とエクソン9の欠失について詳しく検討し以下の成績を得た。 1)12塩基配列のリピートが正方向に繰り返された場合はCatアッセーでは活性が得られなかったが、逆向きに挿入された場合はCatアッセーで活性が得られ、リピート配列へのc-myb蛋白の結合活性は、リピート配列が逆向きになりc-myb蛋白の結合に必要なコンセンサス配列(CAACG)が形成されることにより誘発されることが明らかとなった。 2)エクソン9の欠失は12塩基対のリピートが3〜4個であっても起きることから、欠失はリピートの数に依存することなく起きることが明らかとなった。 3)エクソン9を有するミニプラスミドを構築して、c-myb蛋白の結合によりエクソン9の欠失が誘導されるかどうかを検討したが、エクソン9の欠失はc-myb蛋白の結合に関係なく起きた。リピート配列の特異性を知る目的でリピートの配列を変異置換して検索したが、エクソン9の欠失はリピートの特異性よりリピートそのものの挿入により起こるが強く示唆された。
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